を再発見するための
動画メディア「メトセラ」

天には星、
地には花、
そして、
人には本。

天には星、

地には花、

そして、

人には本。

人類が森林から草原に出て狩猟採集生活をはじめたときの大問題の一つは、
夜の過し方でした。
多少の道具や火があっても、
闇の中では途方に暮れて、
孤独をかこつしかありません。
寄る辺となるのは夜空の星。
一見混沌とした星の群に、
星座という「かたち」を見出すことで、
何とか闇の不安に
折り合いをつけたのでしょう。
そして星座からは、物語が紡ぎ出され、
その動向に我と世界の明日を
占うことにもなりました。
星空こそが最初の
「本」であったのかもしれません。

現在、世間には「本」以外に多種多様な
メディアがひしめいています。
いつの間にか「本」は古いメディアと
なってしまったかにも見えます。
効率や利便性、さらには他者と
繋がっていることに価値を置くかぎり、
なるほど「本」は
時代遅れなのかもしれません。
しかし、効率や利便性、
誰かと繋がっていることは、
一方で現代の息苦しさになってもいます。

「本」には重さとかたちがあります。
「本」は単に情報を
手に入れるためのものではありません。
それは五感のメディアなのです。
ときに迷い、脇見をし、
ページを行きつ戻りつすることで、
思ってもみなかった世界が
目の前に広がることもあるでしょう。
そうしている間に、一冊の「本」が
自分だけの「本」になってゆきます。
読書はまた孤独な営為です。
しかしそこには、時代や地域を超えた
人々や英知との出会いがあります。
ここで紹介する方たちのように、
人生を変える瞬間や創発は、
そんな孤独の中でこそ
訪れるものなのです。

大きな災害や緊急事態の際、「本」は
あまり役に立ちそうもありません。
必要なのは、まずは衣食住であり、
インフラです。
しかし、もしも衣食住が不足し
インフラが途絶えたとしても、
そこに一輪の花、
そして一冊の「本」があるだけで、
世界はほんの少し秩序と
安心を取り戻します。
生きるに不可欠ではありませんが、
安心のよすがとなるところは、
「本」はやっぱり
夜空の星のようでもあります。
「本」は、もしかしたら
小さな神様なのかもしれません。